公開日 2023年2月13日 最終更新日 2026年9月3日
マイホーム購入は、人生で最も大きな買い物のひとつです。無理のない予算で実現するには、物件価格だけでなく、購入時にかかる諸費用や税金まで把握しておくことがとても重要です。なかでも見落とされがちなのが不動産取得税。土地や建物を取得したときに一度だけかかる税金で、忘れたころに納税通知書が届くため「聞いていなかった」と慌てる方が少なくありません。
しかも不動産取得税には手厚い軽減措置があり、申告しなければ受けられません。知らずに放置すると、本来ゼロで済むはずの税金を数十万円払ってしまうことも。この記事では、住宅購入の資金計画を専門とするFP(ファイナンシャルプランナー)が、不動産取得税の仕組み・計算方法・2026年(令和8年度)改正を反映した最新の軽減措置・申請方法までをわかりやすく解説します。
1. 不動産取得税とは
不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得したすべての人を対象に課される地方税です。取得した「土地」と「建物」それぞれに課税されます。固定資産税が毎年かかり続けるのに対し、不動産取得税は取得したときに一度だけ納めるのが大きな特徴です。
課税の対象になるもの
新築・中古、一戸建て・マンションを問わず課税されます。また、有償・無償や登記の有無にかかわらず対象となり、売買だけでなく新築・増改築・贈与・交換で取得した場合もかかります。ただし例外として、相続による取得は課税されません(相続人の意思によらず取得するものであるため)。
誰が納めるのか
納税義務を負うのは、不動産を取得した人です。具体的には「売買・交換・贈与・新築・増改築などによって土地や家屋を取得した人」で、増改築で価値が高められた不動産も含まれます。
いつ納めるのか(忘れたころにやってくる税金)
不動産取得税は地方税のため、都道府県に納めます。所有権移転登記などを都道府県が確認したのち課税されるため、物件の引渡し後、しばらく経ってから「納税通知書」が届きます。届くまでの期間は自治体により幅があり、早ければ数か月後、遅いと1年ほど後になることもあります。「忘れたころにやってくる税金」と呼ばれるゆえんです。
2. 【2026年改正】不動産取得税のここが変わった
2026年8月時点
不動産取得税は軽減措置の適用期限が数年ごとに延長・改正されます。マイホーム購入で関係する令和8年度(2026年度)改正の要点を最初に整理します。以降の計算・軽減の説明は、この最新内容にもとづいています。
| 項目 | 内容 | 適用期限 |
|---|---|---|
| 税率の軽減(本則4%→3%) | 土地・住宅の取得にかかる税率を3%に軽減 | 2027年3月31日まで |
| 土地の課税標準1/2特例 | 宅地等の課税標準を評価額の1/2に | 2027年3月31日まで |
| 床面積要件の下限緩和 | 軽減の下限を50㎡→40㎡に緩和 | 2026年4月1日取得分〜 |
| 認定長期優良住宅の控除増額 | 建物控除を1,200万円→1,300万円に | 2031年3月31日まで |
※令和13年3月31日までの間、東京都特別区の特定都市再生緊急整備地域内では下限が50㎡に据え置かれる例外があるなど、地域差があります。詳細は取得先の都道府県にご確認ください。
3. 不動産取得税の計算方法
不動産取得税は、次の式で計算します。土地と建物それぞれに対して計算します。
ポイント①:課税標準は「購入価格」ではなく「固定資産税評価額」
計算の基準となる「課税標準」は、実際に購入した価格ではなく「固定資産税評価額」を用います。固定資産税評価額は3年に1回見直される公的な価格で、目安は土地で時価(地価公示価格)の約70%、家屋で建築費の約50〜70%とされています。
つまり、5,000万円で購入したマイホームでも、固定資産税評価額は3,500万円前後になるケースが多く、その場合は3,500万円を基準に不動産取得税を計算します。実際の売買価格より低い額で計算されるのが一般的です。
ポイント②:税率は軽減で「3%」
本則の税率は土地・建物とも4%ですが、前章のとおり住宅と住宅用土地の取得には軽減税率3%が適用されます(2027年3月31日まで)。
ポイント③:宅地は課税標準が「1/2」になる
住宅用の土地(宅地等)は、課税標準が評価額の1/2になる特例があります(2027年3月31日まで)。土地の税額計算では、この1/2を反映したうえで、後述の軽減額を差し引きます。
4. 軽減措置:新築住宅
新築住宅は購入額が大きくなりがちですが、一定の要件を満たせば大幅な軽減が受けられます。建物と土地に分けて見ていきます。
建物の軽減(評価額から1,200万円控除)
要件を満たす新築住宅の建物は、課税標準(固定資産税評価額)から1,200万円が控除されます。認定長期優良住宅なら控除額は1,300万円に増えます(2031年3月31日まで)。
評価額が1,200万円以下なら、建物の不動産取得税は0円になります。マンションなどの共同住宅も、1住戸につき1,200万円が控除されます。
新築住宅(建物)の主な要件
- 床面積が40㎡以上240㎡以下(※令和8年3月31日以前の取得は50㎡以上240㎡以下。戸建以外の貸家住宅は40㎡以上240㎡以下)
- 居住用・セカンドハウス・賃貸用など住宅全般が対象
土地の軽減
新築住宅の土地は、評価額を1/2にしたうえで税率3%をかけ、そこから次の①②のいずれか多いほうを軽減額として差し引きます。
- ① 45,000円
- ②(土地1㎡あたりの固定資産税評価額 × 1/2)×(住宅の課税床面積 × 2/200㎡限度)× 3%
一般的なマイホームでは、この控除により土地の不動産取得税が0円になるケースが多いのが実情です。
・建物:(2,000万円 − 1,200万円)× 3% = 24万円
・土地:(1,000万円 × 1/2)× 3% = 15万円 → 住宅用地の軽減で 0円になることが多い
※実際の評価額・床面積・自治体の運用により結果は変わります。
5. 軽減措置:中古住宅
中古住宅にも軽減措置がありますが、新築と違い控除額が「建てられた時期(築年次)」によって変わるのが特徴です。新しい住宅ほど控除額が大きくなります。
建物の軽減(築年次に応じた控除)
控除額は新築された時期によって100万円〜1,200万円の範囲で定められています(自治体により細部が異なります)。たとえば1997年4月1日以降に新築された住宅なら控除額は1,200万円です。
・軽減なし:1,400万円 × 3% = 42万円
・軽減あり:(1,400万円 − 1,200万円)× 3% = 6万円
中古住宅(建物)の主な要件
次の(1)(2)を満たしたうえで、(3)のいずれかに該当する必要があります。
- (1) 床面積が40㎡以上240㎡以下(賃貸住宅は対象外。※令和8年3月31日以前の取得は50㎡以上)
- (2) 自己の居住用またはセカンドハウス用であること
- (3) 次のいずれか:
・1982年1月1日以降に新築された住宅(=新耐震基準の目安)
・それ以前でも新耐震基準に適合していることが証明できる、または既存住宅売買瑕疵保険に加入している
・入居までに新耐震基準を満たす改修を行う一定の中古住宅
土地の軽減
中古住宅の土地は、新築と同じ計算方法で軽減されます(評価額1/2 → 税率3% → ①45,000円か②の多いほうを控除)。
6. 簡易シミュレーターで試算する
固定資産税評価額がわかれば、軽減後のおおよその不動産取得税を試算できます。下のスライダーを動かして、目安をつかんでみてください。
※2026年4月以降取得・軽減措置適用を前提とした概算です。実際の税額は評価額・自治体の運用・個別要件により異なります。正確な額は取得先の都道府県税事務所にご確認ください。
7. 申請方法と期限(申告しないと軽減されない)
ここが最も重要です。不動産取得税の軽減措置を受けるには申告(申請)が必要です。申告しないと、軽減前の高い税額が記載された納税通知書が届き、そのまま支払うことになりかねません。
申請先と期限
申請先は、物件所在地を管轄する都道府県の税事務所です。申告期限は各自治体の条例で定められており(「取得日から◯日以内」など)、取得後は登記や引越しで忙しく手続きを忘れがちなので注意が必要です。原則として期限内に手続きしないと軽減を受けられません。
申請を忘れてしまったら
手続きを忘れて軽減前の納税通知書が届いた場合でも、まずは税事務所に問い合わせましょう。納税通知書を受け取ってからの手続きでも軽減が受けられる場合があります(還付されるケースも)。ただし必ず受けられるとは限らないため、取得後は早めに自治体のホームページで期限を確認してください。
税金・諸費用まで含めた資金計画を、専門家と整理しませんか
「軽減措置を使うと結局いくらになる?」「諸費用まで含めた総額でいくら必要?」——こうした疑問は、住宅購入の資金計画を専門とするFPにまとめてご相談いただけます。特定の金融機関や住宅会社に属さない中立の立場で、大阪・神戸・京都・奈良のマイホーム購入をサポートします。
初回無料相談について見る(オンライン対応)8. よくある質問(FAQ)
まとめ|不動産取得税は「軽減の申告」で大きく変わる
不動産取得税の要点を整理します。
| ポイント | 要点 |
|---|---|
| 性質 | 取得時に一度だけかかる地方税(相続は非課税) |
| 計算 | 固定資産税評価額 × 3%(購入価格ではない) |
| 新築の軽減 | 建物は評価額から1,200万円控除(長期優良は1,300万円) |
| 中古の軽減 | 築年次に応じた控除。新耐震基準が条件 |
| 2026年改正 | 床面積の下限が50㎡→40㎡に緩和(4月以降取得) |
| 最重要 | 軽減は「申告しないと受けられない」 |
不動産取得税は、正しく軽減措置を申告すれば負担を大きく抑えられる税金です。マイホーム購入では、この税金だけでなく諸費用・住宅ローン控除・補助金など、お金にまつわる手続きが同時に動きます。全体像を早めに把握し、無理のない資金計画を立てることが、後悔しない家づくりの第一歩です。

株式会社Erwin 代表取締役
マイホーム購入の相談窓口 代表、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、住宅FPエキスパート。不動産購入相談をはじめとして、住宅予算診断、住宅ローンなど、第三者の立ち位置から顧客の人生を考えた上でのアドバイスを行っている。不動産に関わる知識や税務などのライティングに携わる。


