公開日 2025年11月5日 最終更新日 2026年8月16日
「固定金利が上がっているけれど、今マイホームを買って大丈夫だろうか」——最近、こうしたご相談が急増しています。近年は無理のない範囲でローンを組みたい・年収に見合った返済にしたいと考える方が増えており、金利のニュースに敏感になるのは自然なことです。
住宅ローンの固定金利は、2025年後半から上昇が続いています。背景には長期金利(10年国債利回り)の上昇があり、固定型は市場金利の影響を受けやすい構造です。一方、変動型は日銀の政策金利に連動するため動きが異なり、「固定は上昇・変動は横ばい寄り」という非対称な状態が続いています。
本記事では、住宅購入の資金計画を専門とするファイナンシャルプランナー(FP)の視点から、なぜ固定金利が上がるのかという仕組み、失敗しやすい借入設計、そして金利がどう動いても“払い続けられる”返済設計の作り方を、具体的に解説します。金利は誰にも完璧には読めません。だからこそ大切なのは、金利を当てることではなく、どの金利環境でも暮らせる「壊れにくい設計」です。

1. 2026年、住宅ローンの固定金利はどうなっている?【最新動向】
2026年8月時点
長期金利(10年国債利回り)の上昇を背景に、大手銀行は固定金利の引き上げを続けています。2026年8月適用分の10年固定(最も優遇される場合)は、次の水準です。
| 銀行 | 10年固定(最優遇) | 前月比 |
|---|---|---|
| みずほ銀行 | 3.35% | +0.15pt |
| 三菱UFJ銀行 | 3.59% | +0.24pt |
| 三井住友銀行 | 3.65% | +0.15pt |
| りそな銀行 | 3.795% | +0.18pt |
| 三井住友信託銀行 | 4.105% | +0.27pt |
※ 10年固定・最優遇ケース/2026年8月時点/出典:NHK報道(2026年8月1日)。実際の適用金利は審査・条件により異なります。
一方、利用者の多い変動型は5行とも据え置きです。ただし日銀は2025年12月に政策金利を0.75%へ引き上げており、変動金利も2026年春に一度見直されました。固定は「長期金利」に、変動は「短期の政策金利」に連動するため、当面は「固定は上昇局面/変動は横ばい寄り」という非対称な状態が続く見通しです。
2. なぜ住宅ローンの固定金利は上がるのか
固定金利は「長期金利(10年国債)」に連動する
住宅ローンの固定金利は、簡単に言うと「長期のものさし」=10年国債などの長期金利の動きに影響を受けます。銀行は長い期間お金を貸すほど、「この先インフレや金利上昇が起きるかもしれない」という不確実性を抱えるため、そのリスク分を上乗せして金利を決めます。これを期間プレミアムといいます。
イメージは「10年間ずっと同じ定額プラン」に入る感覚です。将来の値上げや物価上昇の心配を銀行側が引き受ける代わりに、最初から少し高めの料金(固定金利)になります。逆に言えば、将来の変動にビクビクしなくて済む「安心料」でもあります。
つまり、長期金利が上がると固定金利もじわっと上がりやすい、という関係です。ニュースで「10年国債利回りが上昇」と聞いたら、固定金利は上がりやすい地合いだと考えてよいでしょう。
実際、固定金利は連続して引き上げられてきた
近年は、同じ構造で固定金利の引き上げが繰り返し起きています。長期金利の上昇局面では大手銀行が足並みをそろえて10年固定を引き上げる、という動きが2025年後半から2026年にかけて連続しました。固定金利の引き上げは、個別の銀行の強気判断というより、市場環境(長期金利・インフレ観測)の変化を商品価格に反映させた結果と位置づけられます。
背景には、国内の物価上昇に加え、海外金利の高止まりもあります。米国など海外の長期金利が高いままだと、日本の長期金利にも上昇圧力がかかりやすく、それが固定金利に波及します。
3. 変動金利との違い|「据え置き」でも油断は禁物
変動金利は日銀の短期的な政策金利と連動します。固定が「長い金利」に、変動が「短い金利」に影響されるため、動くタイミングが異なります。2026年8月時点では変動は据え置きですが、日銀が2025年12月に政策金利を0.75%へ引き上げたことを受け、変動金利も見直しの動きが出ています。
| 金利タイプ | 連動する金利 | 特徴 |
|---|---|---|
| 固定金利 | 長期金利(10年国債) | 上昇局面。返済額が読めて計画が立てやすい |
| 変動金利 | 短期の政策金利(日銀) | 当面横ばい寄りだが、利上げで上昇の可能性 |
4. 金利だけじゃない|“非ローン費用”も同時に増える
返済額だけを見ていると、家計がじわじわ苦しくなる理由に気づきにくいものです。物価上昇局面では、金利と同時に管理費・修繕積立金・保険料・税金といった「非ローン固定費」も増える傾向があります。これらを見落とすと、家計の余裕を読み違えてしまいます。
- 管理費(マンション):共用部の清掃・設備保守などの費用。改定履歴と今後の見通しを確認。
- 修繕積立金(マンション)/維持修繕費(戸建て):建物を長持ちさせる積立・修理費。長期修繕計画の将来カーブに注意。
- 保険料(火災・地震・家財):更新時に見直されることがあり、補償の重複もチェック。
- 税金(固定資産税・都市計画税):新築減税の終了で負担が増えることがある。減税後の金額も試算を。
5. 金利+1%・+2%のストレステスト(4,500万円・35年・変動0.8%)
金利がどう動いても暮らせるかを確かめる最も確実な方法が、あらかじめ金利が上がった前提で試算する「ストレステスト」です。借入4,500万円・35年・変動0.8%を例に、金利が上がると毎月返済がどう変わるかを見てみましょう(ボーナス返済なし)。
| 想定金利(年) | 毎月返済 | 0.8%からの増減 |
|---|---|---|
| 0.8% | 約122,900円 | — |
| 1.8%(+1.0%) | 約144,500円 | +約21,600円/月 |
| 2.8%(+2.0%) | 約168,200円 | +約45,300円/月 |
さらに、同じ5年を過ごしても金利が高いほど元本が減りにくく、残債が多く残ります。これは将来の売却・住み替えのしやすさ(出口の自由度)に直結します。
| 想定金利(年) | 5年後の残高目安 | 元本の減り方 |
|---|---|---|
| 0.8% | 約3,932万円 | 5年で約569万円圧縮 |
| 1.8% | 約4,017万円 | 圧縮ペースが鈍化 |
| 2.8% | 約4,093万円 | さらに鈍化(残債が多く残る) |
固定金利は「わずかな差」でも総返済額が大きく変わる
固定金利の怖さは、契約時のわずかな金利差が、35年という長い期間を通じて総返済額の大きな差になって表れる点です。3,500万円を35年・固定金利で借りたケースで見てみましょう。
| 固定金利(年) | 総返済額の目安 | 1.65%からの差 |
|---|---|---|
| 1.65% | 約4,610万円 | — |
| 1.75%(+0.10%) | 約4,684万円 | +約74万円(年 約2.1万円) |
| 2.00%(+0.35%) | 約4,870万円前後 | +約260万円(年 約7.4万円) |
※ 3,500万円・35年・元利均等返済での概算です。実際の返済額は借入条件により異なります。
金利がわずか0.1%上がるだけで総返済額は約74万円増え、0.35%の差になると約260万円もの開きが生まれます。固定金利は「申し込んだ時点」ではなく「融資が実行される時点(物件の引き渡し直前)」の金利が適用されるため、注文住宅やマンションのように引き渡しまで1〜2年かかるケースでは、その間の金利上昇で総返済額が膨らむリスクがあります。
「うちの家計は金利が上がっても大丈夫?」を数字で確認しませんか
金利+1%・+2%で本当に返済を続けられるか、5年後に売っても赤字にならないか——住宅購入の資金計画を専門とするFPが、あなたの家計表と一緒に「金利上昇への耐性」を数字でチェックします。初回相談は無料・オンライン対応です。
6. 固定・変動・ミックスの使い分け
「固定か変動か」の二択ではなく、両方を混ぜる「ミックス」が初心者にも扱いやすい王道です。安心(固定)と低コスト(変動)を平準化できるのがメリットです。
| 世帯タイプ | おすすめ配合 | ポイント |
|---|---|---|
| 共働き・収入安定 | 変動60%+固定40% | 繰上げで変動リスクを管理。固定満了は教育費ピークを避ける |
| 子育て期が近い/単収入 | 変動50%+固定50% | 安心を厚めに。固定更新を家計イベントとずらす |
| 繰上げ積極派 | 変動70%+固定30% | 年次繰上げをルール化(年▲60〜100万円目安) |
7. 借り換えを検討すべき基準(90秒判定)
「借り換えたほうが得か?」は、次の3つだけ見れば一次判定できます。
- 残存期間が10年以上残っている(効果が出やすい)
- 実質金利差が0.3%以上ある(現金利 − 新金利 − 手数料相当)
- 諸費用の回収年数が5年以内に収まる見込み
この3つのうち2つ以上が「はい」なら、前向きに検討する価値があります。注意点は、金利だけでなく事務手数料(定率2.2%か定額か)・保証料・団信特約まで含めた「総支払額」と「回収年数」で比べること。定率手数料は借入額が大きいと重くなるため、実質の金利差を圧縮します。
8. 契約前の最終チェック(ここだけ見ればOK)
初めての方でも、次の項目を押さえておけば大きな失敗は避けられます。
- 金利タイプと期間:固定の期間・変動の見直しルールを確認
- 手数料・保証料:定額か定率か、合計を月額換算して家計表へ
- 返済比率:手取りの20〜22%以内に収まっているか(非ローン費用も含めて)
- 生活防衛資金:6か月分+予備費を別口座で確保してから契約
- 5年後残高と出口:将来売る・住み替える時に動けるか
- 固定満了時期:教育費ピークや車の買替えと重なっていないか
- 繰上げルール:年いくら繰上げるか、ボーナスは頼らず繰上げ用プールへ
まとめ——“読めない金利”より“壊れにくい設計”を
金利はプロでも完璧には読めません。だからこそ、初心者ほど「どの金利でも暮らせるようにしておく」ほうが安全です。今回の要点を整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 固定金利の動き | 長期金利の上昇で連続的に上昇。2026年8月時点で10年固定は3〜4%台 |
| 変動との違い | 変動は当面横ばい寄りだが、利上げで上昇の可能性。5年・125%ルールに注意 |
| 家計の見方 | 金利だけでなく管理費・修繕・保険・税の非ローン費用も同時に増える |
| 設計の要 | 金利+1%・+2%でも暮らせるか、ボーナス抜きで確認 |
| 最終判断 | 「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」で決める |
金利のニュースに一喜一憂するより、ご家族の年齢・収入の形・買いたい物件に合わせて「壊れにくい返済設計」を先に作っておくこと。それが、金利がどう動いても安心して暮らせる家づくりの近道です。
大阪・神戸・京都・奈良でマイホームをご検討の方へ
「固定と変動どちらにすべきか」「金利が上がっても返せる借入額はいくらか」——こうした疑問は、住宅購入の資金計画を専門とするFPにご相談ください。Erwinでは関西一円のご購入者様を対象に、中立の立場でオンラインによる初回無料相談を承っています。

株式会社Erwin 代表取締役
マイホーム購入の相談窓口 代表、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、住宅FPエキスパート。不動産購入相談をはじめとして、住宅予算診断、住宅ローンなど、第三者の立ち位置から顧客の人生を考えた上でのアドバイスを行っている。不動産に関わる知識や税務などのライティングに携わる。



