公開日 2026年9月2日 最終更新日 2026年9月2日
住宅ローンを組むとき、多くの方が最初に迷うのが「変動金利と固定金利、どちらを選ぶか」です。変動は金利が低い一方で将来が読めず、固定は安心だが最初から高い。どちらにも理屈があるだけに、決め手が見つからないまま契約日が近づいてしまう——そんなご相談をよくいただきます。
結論から申し上げると、この問いに万人共通の正解はありません。ただし、判断の軸を「今の月額差」から「どこまで金利が上がったら逆転するか」に変えると、驚くほど決めやすくなります。
この記事では、住宅購入の資金計画を専門とするファイナンシャルプランナー(FP)の視点から、変動と固定の損益分岐点を実際に計算しながら、ご自身に合った選び方を整理していきます。記事内のシミュレーターは、借入額や金利を動かすとその場で結果が変わります。ご自身の条件を入れながら読み進めてください。
1. 「今の月額差」で選ぶと判断を誤る
変動と固定を比べるとき、多くの方はまず毎月の返済額を見ます。たしかに分かりやすい指標です。しかし、これだけで決めると判断を誤りやすくなります。
たとえば4,000万円を35年で借りる場合、変動1.0%なら毎月約11.3万円、固定2.5%なら約14.3万円。その差は月3万円です。この数字だけを見れば「変動のほうが3万円も安い」と感じます。
ところが変動金利は、借入時の金利がそのまま35年続くわけではありません。途中で上がれば返済額も増えます。つまり比べるべきは「今の月額」ではなく「35年トータルでいくら払うか」であり、さらに言えば「変動が何%まで上がったら固定を選んだほうが得だったことになるのか」という分岐点です。
2. 損益分岐点シミュレーター
実際に計算してみましょう。借入額・期間・金利・上昇幅を動かすと、変動と固定それぞれの返済額と総返済額、そして損益分岐点が表示されます。
| 比較項目 | 変動金利 | 固定金利 |
|---|---|---|
| 当初の毎月返済 | — | — |
| 上昇後の毎月返済 | — | — |
| 総返済額 | — | — |
※ 元利均等返済・ボーナス返済なしでの概算です。5年ルール・125%ルールは考慮していません。実際の返済額は金融機関・条件により異なります。
3. 分岐点をどう解釈するか
シミュレーターで分岐点が出たら、次はそれをどう受け止めるかです。判断材料は2つあります。
その上昇幅は現実的か
日銀の政策金利は2026年6月に1.0%へ引き上げられ、大手行の変動金利も動き始めました。ただし、35年の間に何が起こるかを言い当てられる人はいません。専門家でも予測は外れます。
だからこそ、予測しようとするより「分岐点までの余裕がどれくらいあるか」で考えるほうが実務的です。分岐点が+2.0ptなら、それなりの余裕があります。一方で分岐点が+0.5ptしかないなら、変動を選ぶ意味は小さくなります。
もし上がったとき、払い続けられるか
こちらのほうが重要です。総返済額で損得を比べても、途中で払えなくなれば意味がありません。シミュレーターの「上昇後の毎月返済」を見て、その金額を毎月払い続けられるかを確認してください。
「うちの場合はどちらが合うのか」を一緒に確認しませんか
ご家族の年齢、収入の形、教育費の見通し——変動と固定の選択は、金利の数字だけでは決まりません。住宅購入の資金計画を専門とするFPが、ご家庭の状況をふまえて一緒に整理します。初回相談は無料・オンライン対応です。
▶ 初回無料相談のご予約はこちら(オンライン対応)|受付時間 9:00〜18:30(土日祝含む)4. 変動が向いている人・固定が向いている人
数字だけでなく、ご家庭の状況によっても向き不向きがあります。
| タイプ | 向いている金利 | 理由 |
|---|---|---|
| 共働きで収入に余裕がある | 変動 | 返済額が増えても吸収でき、繰上返済で元本を早く減らせる |
| 借入額が年収に対して大きい | 固定 | 上昇余地が小さく、返済額が確定しているほうが安全 |
| 教育費のピークが近い | 固定 | 支出が増える時期に返済額が変わるリスクを避けたい |
| 単収入で収入が安定 | 固定またはミックス | 予測可能性を優先。安心を厚めに確保 |
| 繰上返済を計画的に行える | 変動 | 元本を早く減らせば、金利上昇の影響そのものが小さくなる |
| 返済期間が短い(15年以下) | 変動 | 金利上昇にさらされる期間が短く、リスクが限定的 |
第三の選択肢:ミックス
「どちらか」で迷ったときは、両方を組み合わせるミックスという方法もあります。借入額の半分を変動、半分を固定にすれば、金利上昇の影響は半分に抑えられ、低金利のメリットも半分は受けられます。
共働きで収入が安定している方なら変動6割・固定4割、子育て期が近い方なら5割ずつ、といった配分が目安です。詳しくは固定金利の記事で解説しています。
5. 判断を誤りやすい3つのポイント
「変動は5年間返済額が変わらない」を安心材料にしない
多くの変動型ローンには5年ルールがあり、金利が上がっても返済額は5年間据え置かれます。ただしこれは負担が消えるわけではなく、先送りされているだけです。その間も利息の割合は増え、元本の減り方は鈍っています。仕組みの詳細は変動金利はいつ上がる?で解説しています。
固定は「実行時」の金利が適用される
固定金利は申込時ではなく、融資が実行される時点(引き渡し直前)の金利が適用されます。注文住宅やマンションで引き渡しまで1〜2年かかる場合、その間に金利が上がれば、想定より高い金利での契約になります。固定を選ぶなら、この点を織り込んでおいてください。
金利タイプより「借入額」のほうが影響が大きい
これが最も見落とされがちです。変動か固定かで悩む前に、そもそもの借入額が適正かを確認してください。借入額が身の丈に合っていれば、どちらを選んでも大きな失敗にはなりません。逆に借りすぎていれば、どちらを選んでも苦しくなります。
6. よくある質問(FAQ)
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 判断の軸 | 「今の月額差」ではなく「変動が何ptまで上がると逆転するか」で考える |
| 確認すること1 | 分岐点までの余裕がどれくらいあるか |
| 確認すること2 | 上昇後の返済額を、ボーナス抜きで払い続けられるか |
| 返済比率の目安 | 上昇後でも手取りの20〜22%以内に収まるか |
| 迷ったときの選択肢 | 変動と固定を組み合わせるミックスも検討できる |
| 最も重要なこと | 金利タイプより借入額。適正な額なら、どちらを選んでも大きな失敗にはならない |
変動と固定の選択に、絶対的な正解はありません。しかし「どこまで上がったら逆転するか」「そのとき払えるか」という2つの問いに答えられれば、ご自身にとっての正解は見えてきます。数字で確かめたうえで選んだ結論は、その後の金利ニュースに揺さぶられることもありません。
大阪・神戸・京都・奈良でマイホームをご検討の方へ
「変動と固定どちらにすべきか」「金利が上がっても返せる借入額はいくらか」——こうした疑問は、住宅購入の資金計画を専門とするFPにご相談ください。Erwinでは関西一円のご購入者様を対象に、中立の立場でオンラインによる初回無料相談を承っています。
▶ 来店・相談予約はこちら(初回相談無料)|受付時間 9:00〜18:30(土日祝含む)
株式会社Erwin 代表取締役
マイホーム購入の相談窓口 代表、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、住宅FPエキスパート。不動産購入相談をはじめとして、住宅予算診断、住宅ローンなど、第三者の立ち位置から顧客の人生を考えた上でのアドバイスを行っている。不動産に関わる知識や税務などのライティングに携わる。



