公開日 2022年4月4日 最終更新日 2026年8月29日
「そろそろ家を買おうかな」「マイホームを建てたいな」——そう思ったとき、多くの方が最初に足を運ぶのが住宅展示場やモデルハウスではないでしょうか。国土交通省の調査でも、注文住宅を建てた世帯が施工者を探す方法として「住宅展示場」が最も多く挙げられており、それ自体はごく一般的な流れです。ですが、住宅の資金計画を専門とするFPの立場から言うと、住宅展示場に行ってはいけないタイミングがあります。それは「いちばん最初」です。
ですが、この「まず展示場へ」という順番には、実はいくつかの見落とされがちなリスクが潜んでいます。かつて私自身、複数の住宅会社から依頼を受けて展示場で予算診断を請け負ってきました。その現場で見てきた「大人の事情」があるからこそ、声を大にしてお伝えしたいことがあります。
この記事では、住宅購入の資金計画を専門とするファイナンシャルプランナー(FP)の視点から、最初に住宅展示場へ行ってはいけない3つの理由と、後悔しない家づくりの正しい順番を解説します。

「まず展示場へ」の前に知っておきたい3つの落とし穴(画像はイメージ)
理由1. 住宅展示場に行ってはいけないのは「担当が若手・転職組中心」だから
住宅会社の営業担当者が入社後の研修を終えて、まず最初に配属されるのが住宅展示場です。つまり展示場は、住宅やローンの知識をこれから身につけていく新入社員や転職組の受け皿になっているケースが少なくありません。
「優秀な人ほど現場を離れていく」という構造
右も左もわからない状態で営業トークを日々学びながら、実績を積み重ねていく——そうして良い成績を収めた担当者は、やがて所長など管理する立場へと昇格していきます。つまり、お客様本位のコンサルティングができる優秀な人ほど、現場でお客様と直接接する機会が減っていくという構造があるのです。
結果として、展示場で実際に接客している担当者の多くは、まだ営業実績の伴わない=お客様の立場で物事を判断する経験が浅い方であることも珍しくありません。
お客様は担当者を「選べない」
基本的に、お客様は展示場で自分の担当者を選べません。どの人が経験豊富で信頼できるのかを、事前に見分けることもできません。人生でもっとも高額な買い物をするのに、担当は出たとこ勝負になってしまう——ここに大きな不安がつきまといます。
理由2. 住宅会社の営業は「買ってもらう」のが仕事
当たり前のことですが、住宅会社は自社でお家を建ててもらうことが仕事です。他社との違いをアピールし、どうすれば自社を選んでもらえるかを日々研究し、少しでも多くの営業実績を上げることが現場の営業担当者の目標です。
これ自体は健全な企業活動です。ただ、時に「お客様の満足」の積み重ねをはき違えてしまう人がいるのも、残念ながら事実で、これも住宅展示場に行ってはいけない理由のひとつです。
「予算を吊り上げてほしい」と要求されたことも
私はFPとして駆け出しの頃、さまざまな住宅会社から予算診断を請け負ってきました。その現場では、お客様の立場に立って一緒に家づくりを支える素晴らしい営業担当者にも数多く出会いました。
「自社の住宅を買ってもらいたいので、もっと住宅予算を上げてほしい」——。
つまり、家さえ建ててしまえば、その後の家計は知らない、ということです。将来の家族の幸せを思い描いているお客様を前に、目先の数字が優先される場面に、私は何度も出くわしました。
「無理をしたくない」お客様の側に立ちたくて法人を設立
その責任は、いったい誰が取るのか——。この疑問こそが、私がその後、どの住宅会社にも銀行にも属さない、中立な立場でマイホーム購入の相談窓口を立ち上げた大きなきっかけになりました。
「無理のない予算」を先に知っておきたい方へ
展示場へ行く前に、ご家族のライフプランをもとにした予算診断を受けておくと、営業トークに流されずに家づくりを進められます。住宅会社でも銀行でもない、中立の立場のFPがご提案します。初回相談は無料です。
理由3. 住宅展示場に行ってはいけないのは「正確な予算がわからない」から
住宅会社は、少しでも多く売上を上げるために営業活動を行っています。当然ながら、低い予算の建物よりも高い予算の建物を建ててもらえるほうが成績は上がります。
お客様と営業担当者の「利益相反」
ここに、静かな利益相反の構図が生まれます。お客様は「無理をしたくない」と考える一方、営業担当者は「少しでも高いお買い物をしてほしい」と考える——立場がまっすぐ噛み合わないのです。
| 立場 | 予算に対する本音 |
|---|---|
| お客様 | 無理のない範囲で、将来も安心して暮らせる予算にしたい |
| 営業担当者 | 自社の建物を、できるだけ高い金額で建ててほしい |
お客様にとって本当に無理のない予算を組んでしまうと、建物価格は下がり、場合によっては自社での購入を見送られてしまう(お客様が離れてしまう)ことにもつながります。そのため、お客様から頼まない限り予算診断をしてくれないことも多く、仮にしてくれても「予算を吊り上げる=売り手寄り」の診断になりがちです。もちろんすべてがそうだとは言いませんが、現場でその実情を見てきたのが正直なところです。
「住宅展示場に行ってはいけない」の本当の意味は”順番”の問題
ここまで読んで、「じゃあ展示場には行かないほうがいいの?」と思われたかもしれません。そうではありません。住宅展示場に行ってはいけないのは、あくまで「いちばん最初に」という順番の話です。展示場そのものを否定しているわけではありません。
| ステップ | やること |
|---|---|
| STEP1 | 中立なFPと一緒にライフプランを作り、無理のない住宅予算を先に把握する |
| STEP2 | その予算を「軸」として持ったうえで、住宅展示場やモデルハウスを見て回る |
| STEP3 | 予算内で、家族が本当に満足できる住宅会社・プランを比較検討する |
予算の軸が先にあれば、営業トークに流されることなく、「わが家の基準」で冷静に比較・判断ができます。展示場は「予算を決めてもらう場所」ではなく、「決めた予算のなかで理想の家を探す場所」として活用するのが理想です。
よくある質問(FAQ)
Q. 住宅展示場には行かないほうがいいのですか?
いいえ、行くこと自体は問題ありません。大切なのは順番です。先に中立な立場のFPと予算の軸を作っておけば、営業トークに流されずに展示場を有効活用できます。「最初にいきなり展示場」だけは避けたほうが安心、というのがこの記事の趣旨です。
Q. 展示場の営業担当は本当に経験が浅いのですか?
もちろん全員がそうではありません。ただ、展示場は新入社員や転職組が最初に配属されやすい場所で、優秀な担当者ほど昇格して現場を離れていく構造があります。担当者を選べない以上、「誰に当たるか」に左右されない予算の軸を持っておくことが安心につながります。
Q. なぜ展示場では正確な予算がわからないのですか?
住宅会社は自社で家を建ててもらうのが仕事で、高い予算のほうが成績が上がるためです。お客様の「無理をしたくない」という気持ちと、営業担当者の「高く売りたい」という立場には利益相反があり、予算診断が売り手寄りになりやすいのが理由です。
Q. FPに相談すると何が違うのですか?
住宅会社にも銀行にも属さない中立の立場だからこそ、ポジションに左右されない予算診断ができます。ご家族のライフプランをもとに「本当に返していける額」を算出するため、展示場での話し合いを安心して進められます。
まとめ——住宅展示場に行ってはいけないのは「予算より先」だから
この記事の要点を整理します。
| 理由 | 覚えておきたいこと |
|---|---|
| ①担当は若手・転職組が中心 | 優秀な人ほど昇格で現場を離れ、担当は選べない |
| ②営業は「売る」のが仕事 | 高い予算のほうが成績が上がる構造がある |
| ③正確な予算がわからない | お客様と営業の利益相反で、診断が売り手寄りになりがち |
| ④正しい順番 | まず中立FPで予算の軸を作り、その後に展示場へ |
国土交通省の令和6年度住宅市場動向調査でも、注文住宅を取得した世帯が施工者を探した方法として最も多かったのは「住宅展示場」でした。それだけ展示場は、家づくりの入口として一般的な存在だといえます。その行動自体はごく自然ですが、順番を少し変えるだけで、家づくりの安心感は大きく変わります。
私自身、展示場で本当にお客様本位の優秀な営業担当者に出会えたことも数多くあります(今もお付き合いが続いている方もいます)。しかしそれは氷山の一角。現場には「大人の事情」が存在しうることも、また事実です。住宅取得後もご家族がずっと幸せに暮らしていけるよう、展示場に行く前に、まず中立なFPへ——この順番が当たり前になることを願っています。
大阪・神戸・京都・奈良でマイホームをご検討の方へ
マイホーム購入の相談窓口では、ご家族一人ひとりのライフプラン作成と予算診断を行っています。住宅会社でもない、銀行でもない、中立な住宅専門ファイナンシャルプランナーだからこそ、展示場へ行く前の「予算の軸づくり」をしっかりお手伝いします。初回相談は無料です。

株式会社Erwin 代表取締役
マイホーム購入の相談窓口 代表、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、住宅FPエキスパート。不動産購入相談をはじめとして、住宅予算診断、住宅ローンなど、第三者の立ち位置から顧客の人生を考えた上でのアドバイスを行っている。不動産に関わる知識や税務などのライティングに携わる。



