公開日 2023年4月13日 最終更新日 2026年9月2日
マイホーム購入は、人生で最も大きな買い物のひとつです。住宅ローンを組むとき、多くの方が最初に突き当たるのが「固定金利と変動金利は、そもそも何が違うの?」という疑問です。名前は聞いたことがあっても、仕組みや向き不向きまで正しく理解している方は多くありません。ですが、この違いを理解しないまま選ぶと、35年という長い返済期間の総支払額や家計の安定に、思わぬ影響が出ることがあります。
しかも今は、長く続いた超低金利の時代が転換点を迎え、変動金利・固定金利ともに上昇の局面に入りました。「みんなが変動だから変動でいい」という選び方が、これまでになく危険になっています。この記事では、住宅購入の資金計画を専門とするFP(ファイナンシャルプランナー)が、固定金利と変動金利の違い・特徴・メリットデメリット・向いている人を、2026年の最新の金利動向を踏まえて基礎からわかりやすく解説します。「結局どちらを選ぶか」を数字で判断したい方に向けては、記事の中で専用のシミュレーター記事もご案内します。
1. 【2026年最新】金利は今どうなっている?
2026年8月時点
固定金利と変動金利を選ぶ前に、まず「今の金利がどんな局面にあるか」を押さえましょう。長く「変動金利は横ばい」と言われてきましたが、その前提は変わりました。
- 変動金利:上昇局面に転換。2024年7月以降、日銀の利上げを受けて短期プライムレートを引き上げる銀行が増え、変動金利の基準金利も段階的に上がり始めています。かつて「2009年以降ほぼ横ばい」だった短プラが動き出した点が、これまでとの決定的な違いです。
- 固定金利:もともと上昇。指標となる10年国債利回りが2024年頃から上昇し、固定金利も高めの水準で推移しています。
2. そもそも住宅ローン金利はどう決まる?
固定金利と変動金利の違いを理解するには、まず金利の決まり方を知るのが近道です。住宅ローンの金利は、次の式で決まります。
①店頭金利(基準金利)= 定価
店頭金利は住宅ローンの「定価」にあたる基本の金利です。固定金利の店頭金利は長期金利(10年国債利回りなど)を参考に決まり、融資実行後に長期金利が動いても固定期間中は見直されません。一方変動金利の店頭金利は短期プライムレートを参考に決まり、半年ごとの見直しで変わる可能性があります。
②引き下げ金利(優遇金利)= 値引き
引き下げ金利は、店頭金利から差し引かれる「値引き」にあたります。各金融機関が独自に決めるため、自己資金の割合・新規か借換えか・審査結果などで幅が出ます。「当初期間固定型(固定期間選択型)」は、当初期間が終わると引き下げ幅が小さくなり、返済額が上がる点に注意が必要です。全期間変動型は、店頭金利は動くものの引き下げ幅は一定のことが多い傾向です。
③適用金利 = 実際に払う金利
適用金利は、あなたが実際に負担する金利です。返済中に金利が上がるのは「店頭金利が上がった」「引き下げ金利が縮小した」またはその両方が原因です。
3. 固定金利のメリット・デメリット
固定金利は、借入時の金利が返済期間中(または一定期間)ずっと変わらないタイプです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・金利上昇リスクがない ・返済額が最後まで一定で家計の見通しが立つ ・金利をこまめにチェックしなくてよい |
・変動より金利が高め ・金利が下がっても恩恵を受けにくい ・当初固定型は期間終了後に返済額が上がる |
固定金利が向いている人
- 今後、金利が上昇すると考えている人
- 返済額が変わる不安を持ちたくない人、金利チェックが面倒な人
- 教育費の増加や、育児・介護で収入が減る可能性があり、返済額を一定に保ちたい人
- 老後まで見据えた長期のライフプランを今のうちに固めたい人(全期間固定)
4. 変動金利のメリット・デメリット
変動金利は、返済期間中に金利が見直される(一般に半年ごと)タイプです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・固定より金利が低く、当初の返済額が少ない ・金利が上がらなければ総支払額を抑えられる ・引き下げ幅は一定に保たれることが多い |
・金利上昇リスクがある ・将来の返済額が読みにくい ・金利動向を継続的に気にする必要がある |
「5年ルール」と「125%ルール」は万能ではない
多くの変動金利には、金利が上がっても5年間は毎月返済額を変えない「5年ルール」と、見直し後の返済額を直前の1.25倍までに抑える「125%ルール」があります。急に返済額が跳ね上がらない安心材料ですが、注意点があります。
変動金利が向いている人
- 金利が上昇しても家計にゆとりがあり、返済額の増加を吸収できる人
- 手元資金や相続・贈与の予定があり、5〜10年程度で完済できる見込みの人
- 金利動向をこまめに確認でき、いざとなれば繰上げ返済や借換えで対応できる人
5. 固定金利と変動金利を数字で比較
ここまでの内容を、ひとつの表に整理します。固定金利と変動金利の違いを一目で確認してください。
| 比較項目 | 固定金利 | 変動金利 |
|---|---|---|
| 当初の金利水準 | 高め | 低め |
| 金利上昇リスク | なし(固定期間中) | あり |
| 返済額の見通し | 最後まで一定で読める | 読みにくい |
| 連動する指標 | 長期金利(10年国債利回り) | 短期プライムレート |
| 金利チェックの手間 | ほぼ不要 | 継続的に必要 |
| 向いている家計 | 返済額を固定したい・支出増の予定あり | 余裕があり上昇を吸収できる |
6. あなたに向くのはどっち?タイプ別診断
3つの質問に答えると、固定金利・変動金利のどちらが向きやすいかの目安が出ます。あくまで簡易的な傾向診断としてご活用ください。
※この診断は向きやすいタイプの目安を示す簡易ツールです。実際の判断は、収入・貯蓄・ライフプランを総合して行う必要があります。
7. 金利で選ぶ前に「返せる額」を決める
最後に、最も大切なことをお伝えします。固定か変動かで悩む前に、決めておくべきことがあります。それは「わが家が無理なく返せる額はいくらか」です。
金利タイプの選択は、あくまで「無理のない借入額」という土台の上で意味を持ちます。土台が大きすぎる——つまり借入額が家計の身の丈を超えていると、どちらの金利を選んでも、金利上昇で家計が行き詰まるリスクが残ります。
「わが家は固定と変動どちらが安全か」を一緒に整理しませんか
金利タイプの選択は、返せる額・ライフプラン・貯蓄とのバランスで決まります。特定の銀行や住宅会社に属さない中立のFPが、あなたの家計に合った金利タイプと無理のない借入額を一緒に組み立てます。大阪・神戸・京都・奈良のマイホーム購入をサポート。初回相談は無料・オンライン対応です。
初回無料相談について見る(オンライン対応)8. よくある質問(FAQ)
まとめ|固定金利と変動金利は「家計が耐えられるか」で選ぶ
固定金利と変動金利の要点を整理します。
| ポイント | 要点 |
|---|---|
| 2026年の局面 | 変動・固定ともに上昇局面。「変動一択」は危険 |
| 固定金利 | 金利は高めだが返済額が読める。支出増の予定がある人向き |
| 変動金利 | 金利は低いが上昇リスク。家計に余裕がある人向き |
| 選ぶ基準 | 金利予想ではなく「家計が耐えられるか」で選ぶ |
| 最重要 | 金利タイプの前に「無理なく返せる額」を決める |
固定金利と変動金利のどちらが良いかは、金利の予想ではなく、あなたの家計の状況とリスク許容度で決まります。どちらを選ぶにしても、メリットとデメリットを理解したうえで、そして何より無理のない借入額の範囲で選ぶことが、後悔しない住宅ローンの第一歩です。判断に迷ったら、中立の立場の専門家に相談することをおすすめします。
📚 出典・参考リンク
- 日本銀行(政策金利・長短期プライムレートの推移)
- 財務省(国債金利情報/10年国債利回り)
- 住宅金融支援機構(フラット35)(全期間固定金利の水準)

株式会社Erwin 代表取締役
マイホーム購入の相談窓口 代表、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、住宅FPエキスパート。不動産購入相談をはじめとして、住宅予算診断、住宅ローンなど、第三者の立ち位置から顧客の人生を考えた上でのアドバイスを行っている。不動産に関わる知識や税務などのライティングに携わる。



