公開日 2024年4月6日 最終更新日 2024年5月25日
中古マンションを購入する際の予算は、様々な要素によって大きく異なります。例えば、中古マンションの価格は、立地条件や建築年数、広さ、内装設備などの要素によって大きく異なります。
また、物件価格以外にも、諸費用がかかります。これには、不動産会社仲介手数料料をはじめ、不動産取得税、登録免許税、司法書士などが含まれています。
さらに、中古マンションの購入には多くの場合、住宅ローンが必要となります。住宅ローンは種類が非常に豊富で、金利や借入額によって返済額が変わります。その他、リフォームやリノベーション費用、引っ越し費用、家具や家電の購入費用、新しい生活環境に必要な初期費用など、その他の費用も考慮する必要があり、気が付けば予算が大きくオーバーしていた・・・などということがよく起こりえます。
このようなひとつひとつの要素を考慮して、中古マンションの購入時の予算を計画することが非常に重要です。また、予算を決める際には将来の生活費や緊急時の備えも考慮に入れることが重要です。
そこで今回は、中古マンションの購入時の予算における不安を解消し、予算オーバーを防ぐためのお得な情報とコツをご紹介していきます。
大阪市・兵庫(神戸市)の中古マンションの相場
中古マンションの予算は、同じ都道府県内でも物件の立地によって大きく変わってきます。そこで、まず「近畿レインズ」で公表されているデータから、大阪市・兵庫(神戸市)の中古マンションの相場を見てみましょう。
「レインズ(REINS)」とは、「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」の頭文字を取ったもので、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営するコンピューターネットワークシステムです。
「レインズ(REINS)」は、不動産業界や不動産取引において、なくてはならないシステムで、「東日本レインズ」「中部レインズ」「近畿レインズ」「西日本レインズ」の4つがあります。
中古マンションの相場と推移
大阪市・兵庫(神戸市)の中古マンションの相場と推移を見てみましょう。 以下は、各年度で実際に成約した物件の専有面積や㎡単価、物件価格の平均データです。
2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | 2018年度 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
専有面積 (㎡) | 大阪市 | 61.56 | 62.46 | 64.06 | 61.70 | 62.23 |
神戸市 | 69.66 | 69.77 | 71.04 | 70.22 | 70.56 | |
㎡単価 (万円/㎡) | 大阪市 | 54.84 | 51.33 | 47.07 | 45.89 | 44.22 |
神戸市 | 35.74 | 33.63 | 31.45 | 31.06 | 30.19 | |
価格 (万円) | 大阪市 | 3,376 | 3,206 | 3,015 | 2,831 | 2,752 |
神戸市 | 2,490 | 2,347 | 2,234 | 2,181 | 2,130 |
参考:“中古マンションの基本指標” 近畿レインズ|公益社団法人 近畿圏不動産流通機構
2022年度のデータでは、大阪市の㎡単価は54.84万円、価格は3,376万円、神戸市の㎡単価は35.74万円、価格は2,490万円です。
大阪市の方が神戸市より相場が高く、過去5年のデータを見ても、同じような結果になっています。
2018年度から2022年度にかけての推移を見ると、大阪市、神戸市ともに、㎡単価と価格は上昇し続けています。
大阪市・兵庫(神戸市)で価格の高い市区町村
次に、大阪市・兵庫(神戸市)で物件価格の高い市区町村を見てみましょう。
以下は、大阪市、神戸市で実際に成約した中古マンションのデータから、価格が高い4つの市区町村を抽出したものです。
大阪市、神戸市のそれぞれで、2022年度の㎡単価の上位4位を抽出しています。
2022年度 | 専有面積 (㎡) | ㎡単価 (万円) | 価格 (万円) | |
---|---|---|---|---|
大阪市 | 北区 | 61.15 | 79.14 | 4,840 |
中央区 | 57.48 | 75.99 | 4,368 | |
福島区 | 62.95 | 69.56 | 4,379 | |
西区 | 59.49 | 64.21 | 3,820 | |
神戸市 | 中央区 | 60.46 | 59.07 | 3,571 |
東灘区 | 74.67 | 41.67 | 3,112 | |
灘区 | 71.68 | 39.88 | 2,859 | |
兵庫区 | 54.55 | 33.89 | 1,849 |
大阪市の中では、北区が79.14万円と最も㎡単価が高く、次いで中央区の75.99万円、福島区の64.21万円、西区の64.21万円と続きます。大阪市内の中でも、オフィスの中心地に近い非常に利便性の高いエリアを中心として、高い㎡単価を示しています。
神戸市の中では、大阪市と同様に中心地である中央区が59.07万円と㎡単価が最も高いものの、それに続くのは住環境の整った地域である東灘区(41.67万円)や灘区(39.88万円)と続きます。
大阪市と神戸市では、価格に1,000万円前後の差があります。
専有面積にはそれほど大きな差はないため、単純に㎡単価が高いためだということが分かります。
大阪市・兵庫(神戸市)で人気の高い市区町村
大阪市・兵庫(神戸市)で人気の高い市区町村を見てみましょう。
以下は、大阪市、神戸市で中古マンションの成約件数が多い市区町村4つを抽出したものです。
大阪市、神戸市のそれぞれで、2022年度の成約件数の上位4位を抽出しています。
2022年度 | 件数 (件) | ㎡単価 (万円) | 価格 (万円) | |
---|---|---|---|---|
大阪市 | 中央区 | 595 | 75.99 | 4,368 |
北区 | 571 | 79.14 | 4,840 | |
西区 | 427 | 64.21 | 3,820 | |
淀川区 | 369 | 40.05 | 2,166 | |
神戸市 | 中央区 | 467 | 59.07 | 3,571 |
東灘区 | 430 | 41.67 | 3,112 | |
須磨区 | 248 | 23.52 | 1,702 | |
垂水区 | 243 | 21.60 | 1,530 |
4aa7279bc826c2683d1525bd813d9696.pdf (kinkireins.or.jp)(参照2024-03-02)
㎡単価が高いから成約件数が多いとは限らず、大阪市淀川区や神戸市須磨区、神戸市垂水区は、㎡単価がそれほど高いわけではありませんが、成約件数は多くなっています。
このように、住むエリアによって㎡単価が大きく異なり、利便性などの住環境を優先する場合には人気エリアで物件を探すことになり、必然的に住宅予算が高くなることに注意しなければなりません。
例えば、利便性の高いエリアを最も希望するが、建物の建築年数は多少古くてもよい(妥協する)・・・など、住宅予算を考える上で、優先順位を明確に整理しておく必要があります。
中古マンション購入の際によくある3つの不安
中古マンション購入の際によくある3つの不安を見てみましょう。
事前にどのような不安が起こりやすいのかを知っておくことで、早めに対策ができます。
自分たちの年収に見合った物件なのか?
中古マンションの購入では、支払いが長期にわたることもあり、自分たちの年収に見合った物件なのか不安に思う方も多いでしょう。
というのも、候補の物件が見つかって購入を検討する際に、不動産会社から提示される資金計画表は、毎月の返済額を示しているだけで、「現状において返済できる額なのか」という部分しか分かりません。
この資金計画表だけでは、「将来、返済し続けていけるか」については不透明なため、長期的に見て自分たちの年収に見合った物件なのかの判断ができないのが実情です。この不安を購入前に解消できなければ、購入後もずっと資金面での不安を抱え続けることになってしまいます。
購入するべき物件なのか?
候補の物件が見つかって、いざ具体的に購入の検討を始めたときに、ふと以下のような疑問や不安が出てくることがあります。
- 今は買い時なのか?
- 周辺環境に問題はないのか?
- 購入価値のあるマンションなのか?
- 将来的にいくらで売れるのか?
- 災害リスクに問題はないのか?
- 今後、修繕積立金などの負担は増えないのか?
このような疑問や不安から、本当にこの物件を購入して大丈夫なのだろうか、という不安も同時に出てきてしまいます。
諸費用やリフォーム・リノベーション費用はどれぐらいになるのか?
売主(現入居者)が業者でない場合の大半は、売主が暮らしていた状態のままで物件を取得することになり、内装において経年劣化を起こしていることがあります。そのため、マンションを購入してから入居までの間で、リフォーム工事やリノベーション工事を行わなければなりません。
この場合、マンションを契約した後に、じっくりと工事内容を検討している時間がなく、即断を迫られるケースも多々あります。
そのため、あらかじめ「物件価格+諸費用+リフォーム・リノベーション費用」の合計の予算感をつかんでおく必要があるのです。
よくある失敗例として、物件価格に気を取られ過ぎて、諸費用やリフォーム・リノベーション費用を足したら予算オーバーになってしまった、というケースが頻繁に起こっています。
また、リフォーム・リノベーション費用を住宅ローンに含められるかどうかは、金融機関によって異なります。
含められない場合は頭金で補わなければならず、当初の資金計画が大幅に狂ってしまうことにも繋がってしまいますので注意が必要です。
中古マンション購入でよくある不安解決のコツ
中古マンション購入の際によくある3つの不安をご紹介しましたが、それらの不安を解決するためにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、中古マンションの購入でよくある不安の解決のコツをご紹介します。
将来も見据えた資金計画(ライフプラン)の作成をしよう
不動産会社から提示される資金計画表は、毎月の返済額を示しているだけですが、ファイナンシャルプランナーの作成する資金計画(ライフプラン)は将来の資金の流れも見据えて作成されています。
ファイナンシャルプランナーが行う資金計画(ライフプラン)の作成では、転職、結婚、出産、老後などの将来の人生設計について細かくヒアリングします。
そして、その人生設計において大きなお金が動く、結婚式や子どもの進学などといったライフイベントも考慮しながら、1年ごとの収入と支出を予測して計算していきます。
こうすることで、臨時の収入や支出も考慮しながら、長い将来にわたって問題なく支払いが続けられるかどうかを確認することができるのです。
物件探しを始める前に、無理のない予算を設定しておく
いざ物件を購入して、リフォームやリノベーションまで終わってみたら、最終的な費用が予算を大きくオーバーしていた、ということがないように、事前に予算の内訳まで設定しておきましょう。
特に、マンションを契約してからリフォームやリノベーションを行うまでの間には、ほとんど時間がない場合もよくあるため、物件探しを始める前の段階でこれを行っておくことをお勧めします。
そのためにはまず、合計の予算を把握しておく必要がありますが、これを把握できるのがファイナンシャルプランナーの作成する資金計画(ライフプラン)です。
資金計画(ライフプラン)は、将来も見据えて作成するので、長期的な視点から見て住宅に掛けられる無理のない費用(予算)が分かります。
「物件価格+諸費用+リフォーム・リノベーション費用」の合計が、その範囲内に収まるようにそれぞれの予算の内訳を決め、実際にその範囲内で収まるように調整できれば、お金の不安は大きく解消できます。
記事タイトル:マイホーム購入における住宅予算はライフプランで明確にできる!
物件に対する不安を解消できる不動産コンサルタントに相談する
「今は買い時なのか」「周辺環境に問題はないのか」などといった物件に対する不安を解消するためには、それらの情報について詳しく調べる必要があります。
しかし、すべての情報を自分で調べることには限界がありますし、その分野の専門家だからこそ分かることもあるでしょう。
そこで、物件に対する不安を解消するにあたって、不動産コンサルタントに相談してみるのも一つの方法です。
不動産コンサルタントは、不動産の取得や管理などで悩みを持つ人に対して、客観的な立場からのアドバイスを行っています。
具体的には、依頼者の悩みに対して、調査や解決策の提案などを行うのです。
不動産会社のように、物件の販売を目的としているわけではないため、客観的な立場からみた意見や判断材料をもらえるのが大きなメリットです。
まとめ
大阪・兵庫(神戸)で2022年度に実際に成約した中古マンションの相場を見てみると、大阪市は㎡単価54.84万円、神戸市は㎡単価35.74万円でした。
大阪市の方が神戸市よりも㎡単価が高く、過去5年のデータを見ても同じような結果で、大阪市も神戸市も㎡単価は年々上昇しています。
また、大阪市では北区や中央区、神戸市では中央区や東灘区が、価格・人気ともに高いエリアとなっています。
中古マンションの購入においては、物件価格に対する不安はもちろんのこと、物件自体に対する不安や、物件を購入した後のリフォーム・リノベーション費用についての不安も重要な問題です。
これらの不安を解消するためには、物件探しを始める前に、将来も見据えた資金計画(ライフプラン)を作成して、適切な予算を把握しておく必要があります。
また、物件に対する不安については、不動産コンサルタントに相談することで、客観的な立場からのアドバイスを得られます。
これらの不安を、専門家に頼らず自分で解決することも不可能ではありません。
しかし、ファイナンシャルプランナーや不動産コンサルタントといった専門家に的確なアドバイスを受けることで、中古マンションの購入をより成功に近づけることができるでしょう。
マイホーム購入の相談窓口では、その両面のサポートができる住宅購入専門のファイナンシャルプランナーが運営しています。大阪市や神戸市など関西で中古マンションのご購入をご検討の際は、強力な味方となってサポートすることが可能ですので、気兼ねなくご相談ください。
株式会社Erwin 代表取締役
マイホーム購入の相談窓口 代表、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、住宅FPエキスパート。不動産や住宅予算診断、住宅ローンの専門家として、第三者的な立ち位置からのお金の専門家として、その後の人生を考えた上でのアドバイスを行っている。不動産に関わる知識や税務などのライティングに携わる。