「中古マンションを買ってリノベしたいけれど、工事費はいくらくらい?」「見積もりは1,000万円と言われたけれど、本当にそれで足りるの?」——リノベを考え始めた方から、最初にいただくご質問です。
この記事では、住宅購入の資金計画を専門とするFP(ファイナンシャルプランナー)が、70㎡のマンションのリノベ費用の相場を工事の範囲ごとに整理し、諸費用・予備費まで含めた「住み始めるまでの総額」を計算できるツールを用意しました。さらに、国土交通省の取引データをErwinが独自に集計し、リノベにかけた費用が、売るときにどれくらい評価されるのかもお伝えします。
工事費だけでなく、住み始めるまでの総額で考えるのがリノベ予算の基本です
1. 70㎡のリノベ費用は「工事の範囲」で3段階に分かれる
マンションのリノベ費用は、どこまで手を入れるかで大きく変わります。70㎡の場合の目安は次のとおりです。
| 工事の範囲 | 主な内容 | 費用の目安(70㎡) |
|---|---|---|
| 部分的なリフォーム | キッチンや浴室など水回りの交換、壁紙・床の一部張り替え | 500万円以下 |
| 内装・設備の一新 | 床・壁・天井の張り替えと水回り設備の交換。間取りは大きく変えない | 500万〜1,000万円 |
| フルリノベ(スケルトン) | 内装と設備をすべて撤去し、間取り・配管・配線から作り直す | 700万〜2,000万円以上 |
※業界で一般的に示されている目安です。築年数・物件の状態・設備のグレード・工事会社によって大きく変わります。
全面的にリノベする場合は、1㎡あたり10万〜20万円、70㎡で700万〜1,400万円がひとつの目安です。中古マンションの購入とリノベをまとめて請け負う会社の実績でも、リノベ費用の平均は1,200万〜1,900万円程度と公表されています(首都圏・関西・東海の利用者の平均)。
また、建築資材費や人件費の上昇で、リフォームの工事単価は上がり続けています。数年前の事例やネットの相場だけで予算を決めず、今の見積もりで確かめることが大切です。
リフォームとリノベの違い
リフォームは、古くなった部分を新しくして「元の状態に戻す」工事です。壁紙の張り替えや設備の交換が中心になります。一方、リノベは、間取りや収納、動線、配管・配線まで見直して「暮らしに合わせて作り直す」工事です。
費用の差は、工事の範囲の差です。「リフォームのつもり」で予算を組むと少なく見積もりがちで、反対に「せっかくだから」と要望を重ねるとフルリノベに近づいていきます。最初にどこまで手を入れるかを決めておくと、予算がぶれにくくなります。
2. 工事費だけでは足りない|住み始めるまでの総額
リノベの予算で最も多い失敗は、「物件価格+工事費」だけで考えてしまうことです。実際には、次の費用も重なります。
| 費用の項目 | 目安 | 見落としやすいポイント |
|---|---|---|
| 購入時の諸費用 | 物件価格の6〜9% | 仲介手数料・登記・ローンの手数料など |
| リノベ工事費 | 70㎡で700万〜1,400万円 | 設計費・現場管理費が含まれているかを確認 |
| 予備費 | 工事費の10%前後 | 解体後に見つかる配管・下地の補修に備える |
| 仮住まい・引越し | 数十万円 | 工事中の家賃との二重払い、引越し2回分 |
| 家具・家電 | 数十万円〜 | 照明・カーテン・エアコンも新しい間取りに合わせて必要に |
たとえば1,600万円の物件を買って、70㎡を1,000万円でリノベする場合、住み始めるまでの総額は約3,000万円になります。物件価格の約1.9倍です。下の計算ツールで、ご自身の条件に置き換えて試してみてください。
※工事の㎡単価は、内装・設備の一新で10万円前後、フルリノベで15万〜20万円が目安です。月々の返済は、総額を全額、変動金利1.2%・35年で借りた場合の概算です。
3. 【Erwin独自集計】リノベにかけた費用は、売るときにいくら評価される?
リノベは住み心地を大きく変えますが、資金計画の面では「将来売るとき、かけた費用がどれくらい価格に反映されるか」も知っておきたいところです。国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引価格情報から、大阪市の中古マンションの「改装済み」と「未改装」の価格を比べました(2021年1月〜2026年6月)。
| 築年数 | 改装済み(㎡単価) | 未改装(㎡単価) | 70㎡換算の差 |
|---|---|---|---|
| 築21〜30年 | 56.7万円 | 50.8万円 | 約410万円 |
| 築31〜40年 | 40.0万円 | 32.0万円 | 約560万円 |
| 築41年以上 | 35.0万円 | 25.2万円 | 約680万円 |
※国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報(大阪市全24区の中古マンション等)のうち、「改装」欄に記載がある取引の㎡単価の中央値をもとに株式会社Erwinが集計。件数は築年数帯ごとに2,000〜2,700件。「改装済み」の改装の範囲(全面か部分か)は区別されていません。
改装済みの物件は、未改装より70㎡で約410万〜680万円高く取引されていました。一方、全面的なリノベの費用は70㎡で700万〜1,400万円が目安です。つまり、市場が価格として評価するのは、リノベ費用の半分前後にとどまる計算です。
リノベ済みの物件と、買ってリノベする場合の総額の比較は、マンションリノベの資金計画で、区ごとの価格差はリノベ済みマンションと自分でリノベ、どっちが得?で詳しく解説しています。
4. 費用が上がりやすいポイント
同じ70㎡でも、次の条件で費用は大きく変わります。見積もりを比べるときは、これらが含まれているかを確認しましょう。
- 築年数と配管の状態:築年数が古いほど、給排水管や下地の補修が必要になりやすく、解体してから追加工事が見つかることもあります。
- 水回りの移動:キッチンや浴室の位置を動かすと、配管の勾配を確保するために床を上げる工事が必要になることがあります。
- 間取りの変更:壁を取り払う・増やすほど、解体と造作の費用が増えます。構造上取れない壁もあります。
- 断熱・内窓:費用はかかりますが、光熱費や補助金、住宅ローン控除の条件にも関わるため、優先度の高い工事です。
- 設備と素材のグレード:キッチン・浴室・床材のグレードは、総額を大きく左右します。
5. マンションでできる工事・できない工事
マンションは、購入した住戸の内側(専有部分)は工事できますが、建物全体のもの(共用部分)は個人で工事できません。工事の内容は、管理規約や使用細則にも決まりがあります。
| 工事の内容 | 可否 | ポイント |
|---|---|---|
| キッチン・浴室・トイレの交換 | できる | 専有部分の設備。水回りの移動は配管の条件を確認 |
| 部屋の間仕切り壁を取る | できる | コンクリートの構造壁は取れない |
| 床材の張り替え | できる(条件あり) | 管理規約で遮音性能が決まっていることが多い |
| 玄関ドアの交換 | できない | 共用部分。内側の仕上げの変更はできることもある |
| 窓・サッシの交換 | できない | 共用部分。断熱や防音は内窓で対応する |
| バルコニー・外壁の工事 | できない | 共用部分。穴を開けることもできない |
工事の前には、管理組合への届け出が必要です。物件を決める前に管理規約と使用細則を入手し、希望する工事ができるかを確認しておくと、後から設計を変える手間と費用を防げます。
6. リノベ費用を無理なく抑える5つのコツ
- 総額の上限を先に決める:物件探しの前に、諸費用・予備費まで含めた総額の上限を決めておきます。上限が決まっていると、物件と工事の配分を落ち着いて考えられます。
- 工事に優先順位をつける:「配管・断熱など後からやり直しにくい工事」を優先し、仕上げや造作家具は調整役にします。
- 同じ条件で2〜3社を比べる:工事範囲と設備のグレードをそろえて見積もりを取ると、金額の差の理由が見えます。
- 補助金と住宅ローン控除を使う:省エネ改修には国の補助金があり、省エネ基準に適合させると住宅ローン控除の期間が13年になります。
- 物件とリノベ費用をまとめて住宅ローンで借りる:別のリフォームローンより金利が低く、返済期間も長くできるのが一般的です。
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物件価格・リノベ費用・諸費用・入居後の住居費まで含めて、教育費や老後資金と両立できる総予算を、住宅購入専門のFPが中立の立場で試算します。リノベ会社に見積もりを頼む前の「予算の物差しづくり」にご活用ください。
※無料は初回のみ。2回目以降は有償サービスとなります。お電話・無理な勧誘はいたしません。
7. よくある質問(FAQ)
まとめ——リノベ費用は「工事の範囲」と「総額」で考える
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 相場 | 70㎡で、内装・設備の一新は500万〜1,000万円、フルリノベは700万〜2,000万円以上 |
| 総額 | 諸費用・予備費・仮住まい・家具家電まで含めると、物件価格の1.5〜2倍近くになることも |
| 売るとき | 改装済みは未改装より70㎡で約410万〜680万円高い。リノベ費用の半分前後 |
| できない工事 | 玄関ドア・窓・バルコニー・構造壁は共用部分。管理規約も確認 |
| 抑え方 | 総額の上限を先に決め、後からやり直しにくい工事を優先する |
リノベの費用は、工事の範囲によって数百万円単位で変わります。工事費だけを見ず、住み始めるまでの総額と、入居後の住居費まで含めて「無理なく返せるか」を確かめてから進めることが、後悔しないリノベにつながります。
中古マンション+リノベをご検討の方へ
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初回無料相談について見る出典・参考
国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産取引価格情報(株式会社Erwinが加工・集計)/リノベる株式会社「リノベる。ユーザーレポート」(2026年6月)/矢野経済研究所「住宅リフォーム市場の展望と戦略」(2026年版)。リノベーション費用の目安は業界で一般的に示されている相場で、個別の工事費を示すものではありません。記載の価格・㎡単価は中央値や目安であり、実際の取引価格を保証するものではありません。

株式会社Erwin 代表取締役
マイホーム購入の相談窓口 代表、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、住宅FPエキスパート。不動産購入相談をはじめとして、住宅予算診断、住宅ローンなど、第三者の立ち位置から顧客の人生を考えた上でのアドバイスを行っている。不動産に関わる知識や税務などのライティングに携わる。



