「リノベ済みのマンションを買うのと、未改装の物件を買って自分でリノベするのと、どっちが得なの?」——中古マンションを探し始めた方から、よくいただくご質問です。リノベ済みはすぐ住めて安心な一方、「割高では?」「中身は大丈夫?」という不安もつきまといます。
この記事では、国土交通省の取引データからErwinが大阪市の区ごとにリノベ済みと未改装の価格差を集計し、住宅購入の資金計画を専門とするFP(ファイナンシャルプランナー)の視点で、総額の比べ方とリノベ済み物件の見分け方を解説します。
リノベ済みと未改装の価格差は、区によって大きく違います
1. 結論:答えは「工事の範囲」と「区」で変わる
先に結論をお伝えします。リノベ済みと自分でリノベ、どちらが得かは、次の2つで決まります。
- どこまで工事したいか:工事を最小限に抑えるなら総額はほぼ同じ。間取りの変更や設備のグレードアップを加えるほど、自分でリノベするほうが高くなります。
- どの区で買うか:Erwinの集計では、築31年以上のマンションでリノベ済みが未改装より高い割合は、区によって+15%〜+72%と大きく違いました。差が小さい区ではリノベ済みが割安に、差が大きい区では自分でリノベする余地が広がります。
つまり、「リノベ済みは割高」とも「自分でリノベが得」とも一概には言えません。同じ予算でも、区と工事の範囲によって答えが入れ替わります。
すぐ住めるリノベ済みか、自分好みにつくるリノベか。総額と区の価格差で比べるのがポイントです
2. 【Erwin独自集計】大阪市19区のリノベ済みと未改装の価格差
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引価格情報から、大阪市の築31年以上の中古マンションの取引4,795件(2021年1月〜2026年6月)を集計しました。市全体では、改装済みの㎡単価の中央値は37.8万円、未改装は28.7万円で、改装済みが約32%高い水準です。区ごとに見ると、その差は大きく違います。
【Erwin独自集計】リノベ済みの価格の上乗せは、人気の区ほど小さい
築31年以上の中古マンションで、改装済みの㎡単価が未改装より何%高いか(中央値どうしの比較)。棒にカーソルを合わせると数値を表示(スマホはタップ)
港区(+72%)や旭区(+68%)、住之江区(+55%)などでは、リノベ済みかどうかで価格が大きく変わります。一方、阿倍野区(+15%)、天王寺区(+17%)、中央区(+23%)、北区(+25%)など、もともと人気のある区では差が小さくなっています。立地の価値が高い区ほど、価格のうち「立地」の占める割合が大きく、室内の状態の影響が相対的に小さくなるためと考えられます。
70㎡に換算した価格差
| 区 | 改装済み(70㎡) | 未改装(70㎡) | 差 |
|---|---|---|---|
| 港区 | 約2,410万円 | 約1,400万円 | 約1,010万円 |
| 福島区 | 約3,290万円 | 約2,290万円 | 約1,000万円 |
| 鶴見区 | 約2,800万円 | 約1,870万円 | 約930万円 |
| 都島区 | 約2,910万円 | 約2,000万円 | 約910万円 |
| 東成区 | 約2,690万円 | 約1,830万円 | 約860万円 |
| 旭区 | 約2,060万円 | 約1,230万円 | 約830万円 |
| 城東区 | 約2,610万円 | 約1,770万円 | 約830万円 |
| 西区 | 約3,340万円 | 約2,570万円 | 約770万円 |
| 住吉区 | 約2,200万円 | 約1,480万円 | 約720万円 |
| 北区 | 約3,500万円 | 約2,800万円 | 約700万円 |
| 淀川区 | 約2,570万円 | 約1,870万円 | 約700万円 |
| 西淀川区 | 約2,100万円 | 約1,400万円 | 約700万円 |
| 平野区 | 約2,010万円 | 約1,330万円 | 約680万円 |
| 住之江区 | 約1,760万円 | 約1,140万円 | 約620万円 |
| 中央区 | 約3,300万円 | 約2,690万円 | 約610万円 |
| 東住吉区 | 約2,450万円 | 約1,870万円 | 約580万円 |
| 天王寺区 | 約3,270万円 | 約2,800万円 | 約470万円 |
| 阿倍野区 | 約2,800万円 | 約2,430万円 | 約370万円 |
| 東淀川区 | 約2,020万円 | 約1,680万円 | 約340万円 |
※㎡単価の中央値×70㎡。改装済み・未改装それぞれ30件以上の取引がある19区を掲載(大正区・此花区・浪速区・生野区・西成区は件数が少ないため省略)。
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリのデータをもとに株式会社Erwinが加工・作成
3. 総額の比べ方と「損益の分かれ目」
比べるときは、物件価格どうしではなく、住み始めるまでの総額どうしで比べます。自分でリノベする場合は、工事費のほかに予備費や、工事中の仮住まい・二重家賃がかかるためです。
差が小さい区と大きい区で、70㎡を工事費1,000万円(予備費100万円、仮住まい・引越し60万円)でリノベする例を比べてみましょう。
| 阿倍野区(差 約370万円) | 港区(差 約1,010万円) | |
|---|---|---|
| リノベ済みを買う | 約2,800万円 | 約2,410万円 |
| 未改装を買ってリノベ | 約3,590万円 | 約2,560万円 |
| 差 | リノベ済みが約790万円安い | リノベ済みが約150万円安い |
※未改装の価格+工事費1,000万円+予備費100万円+仮住まい・引越し60万円で計算。購入時の諸費用・家具家電は両方にかかるため省略しています。
阿倍野区のように差が小さい区では、全面的にリノベするとリノベ済みより大幅に高くなります。港区のように差が大きい区では、ほぼ同じ総額で、間取りや素材を自分で決められます。工事費を800万円程度までに抑えれば、港区では自分でリノベするほうが安くなる計算です。
工事費の相場や、ご自身の条件での総額はマンションリノベ費用の相場|70㎡で総額いくら?の計算ツールで試算できます。
4. リノベ済み(買取再販)物件の見分け方
リノベ済みの物件の多くは、不動産会社が中古マンションを買い取って改装し、売り出す「買取再販」の物件です。見た目がきれいでも、工事の中身は物件によって大きく違います。次の点を確認しましょう。
見た目のきれいさより、配管の交換や工事の履歴を図面と書面で確かめることが大切です
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 給排水管を交換したか | 内装だけ新しく、床下の配管は古いままという物件もある。工事内容を書面で確認する |
| 工事の範囲と履歴 | どこを、いつ、どの会社が工事したか。図面や工事写真を見せてもらう |
| 売主の保証 | 売主が不動産会社の場合、不具合への責任(契約不適合責任)は引き渡しから2年以上。アフターサービスの内容も確認 |
| 管理と修繕積立金 | 室内が新しくても、建物全体の管理状態と積立金は未改装の物件と同じ。長期修繕計画を確認 |
| 住宅ローン控除の区分 | 省エネ性能の証明がある買取再販の物件は、新築と同じ借入限度額の区分になる。証明書が出るかを確認 |
| 諸費用の違い | 売主が不動産会社のため建物部分に消費税がかかる。売主から直接買う場合は仲介手数料がかからないこともある |
5. 自分でリノベする場合の注意点
- 入居までに時間がかかる:物件の購入、設計、工事で数か月かかり、その間は今の家賃とローンの二重払いになりやすくなります。
- ローンの手続きが複雑:物件とリノベ費用をまとめて住宅ローンで借りるには、物件の契約時に工事の見積書が必要になることが一般的です。物件探しとリノベ会社選びを並行して進めます。
- 解体後の追加工事:築年数が古いほど、解体して初めてわかる配管・下地の傷みがあります。工事費の10%前後の予備費を確保しておきましょう。
- 管理規約の制約:床材の遮音性能や水回りの移動など、マンションごとにできる工事が決まっています。購入前に管理規約を確認します。
6. どちらが向いているか
| こんな方 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 総額を確実に読みたい | リノベ済み | 価格が確定していて、追加工事の心配が少ない |
| 今の家賃との二重払いを避けたい | リノベ済み | 購入後すぐに住める |
| 人気の区(都心・文教地区など)で探している | リノベ済みを優先して比較 | 改装済みの上乗せが小さく、割安になりやすい |
| 間取りや素材にこだわりたい | 自分でリノベ | 暮らし方に合わせて一から作れる |
| 配管など見えない部分まで自分で決めたい | 自分でリノベ | 工事の範囲と仕様を自分で確認できる |
| 上乗せの大きい区で探している | 自分でリノベも比較 | 工事を絞れば、リノベ済みより安くなる余地がある |
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※無料は初回のみ。2回目以降は有償サービスとなります。お電話・無理な勧誘はいたしません。
7. 比べるときのチェックリスト
項目をタップするとチェックできます。
8. よくある質問(FAQ)
まとめ——「区の価格差」と「総額」で比べれば、答えが見える
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 価格差 | 大阪市の築31年以上では、改装済みが約32%高い。区別では+15%〜+72% |
| 区の傾向 | 人気の区ほど上乗せが小さく、リノベ済みが割安になりやすい |
| 損益の分かれ目 | 工事費+予備費+仮住まいが、その区の価格差を下回れば自分でリノベが割安 |
| リノベ済みの確認 | 配管交換の有無、工事の履歴、売主の保証、管理と修繕積立金 |
| 選び方 | 総額の読みやすさと早さならリノベ済み、自由度と中身の確認なら自分でリノベ |
リノベ済みと自分でリノベは、どちらが正解ということはありません。候補の区の価格差を確かめ、住み始めるまでの総額で比べたうえで、ご家庭が何を優先するかで選ぶことが、後悔しない中古マンション選びにつながります。
中古マンション+リノベをご検討の方へ
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国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産取引価格情報(株式会社Erwinが加工・集計)。記載の価格・㎡単価は中央値や目安であり、個別物件の価格や実際の取引価格を保証するものではありません。

株式会社Erwin 代表取締役
マイホーム購入の相談窓口 代表、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、住宅FPエキスパート。不動産購入相談をはじめとして、住宅予算診断、住宅ローンなど、第三者の立ち位置から顧客の人生を考えた上でのアドバイスを行っている。不動産に関わる知識や税務などのライティングに携わる。



